桃井和馬さんが本を発売しました

先月、集英社新書から桃井和馬さんの「妻と最後の十日間」が発売されました。

 

死に向かって行く自分の最愛の人に夫として、ジャーナリストとして

本気で向き合い、苦悩し抜いた話です。

今日本にある普遍的な愛情の形に一石を投じる。そんな本だと僕は思って

います。

 

読み終えた直後にメールを送ったら、桃井さんから本に対する想いを

いただきました。

 

 

 

 

 長年、世界各地の現場で取材し、撮影するなかで、ひとつ

心に決めていることがあった。他者を取材し、発表する以上

必要があれば自分のことも、自らの言葉と写真で公にしなければならない。

紛争や飢餓の現場で多くの死を取材対象としてきた者の

これが死者に対する礼儀であり、矜持だった。

 

 それが突然訪れてしまったのだ。健康だった妻が、急性の

「くも膜下出血」により、意識が一度も戻らないまま10日間で

他界したのである。

 医者や宗教者と同様、「死」に慣れ、耐性を持つと信じていた私だが

死に近づく妻を前に、肉体的に追い詰められ、精神的に崩れていった。

であるなら、事実を見つめることを仕事にしてきた者として、この最期の

プロセスと、それを見つめる者たちの混乱する様子を記録しなくてはならない。

 

 病床で取り始めたメモを元に、原稿を書き始めた。それは

己の精神に、あたかもノミをコツコツと打ち込む行為で、文字は

書くものではなく、刻むものだと感じるようになった。同時に

妻の日記を繰り返し読む中で、私の意識の中に住み始めた妻と

自然な形で対話し続けていることにも気づいた。

 

 身内の不幸を書く行為が正しいのか、否か。自ら発した数々の問いを

その都度「妻」と話し合い、文字に起こす。その中で、世界の現場で

見続けたいくつもの死を、改めて思い出し、死の意味を考え直した。

生きている人間と同じ数だけ訪れる死。死とは、当たり前の日常的出来事なのだろう。

ならなぜ、人は身近な者の死を前に、これほどまで冷静さを無くてして

しまうのか。すべての宗教が死を中心テーマに置き、人々はその全容を

理解したいと願いながら、しかしまだ見たことがない領域。生きている者に

とって、死とは・・・。

書き上げるまでに3年がかかってしまった。その間、野宿で四国遍路を

繰り返し、世界各地の大自然に何度も身を置いた。それは生と死を考え続け

価値感を共有するパートナーの大切さを改めて感じた時間でもあった。

 

 

 

略歴

ももいかずま 1962年山口県生まれ。写真家、ジャーナリスト。

これまで世界140ヵ国を取材し、「紛争」「地球環境」などを基軸に、

独自の切りで「文明論」を展開。第32回太陽賞受賞。

著書に「すべての生命にであえてよかった」など。

 

 

「桃井和馬」さんのHP

「妻と最後の十日間」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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